モカジャバをジャバジャバ

世間の出来事のうちのごく一部について、周回遅れで書くブログです。基本的にはゲームのブログではあります。

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「カクヨム」で読んでみた。 SF編-2選 その3

チョコミントアイスが好きで、毎年この時期になるとよく買っているのですが、色って大事ですよね。緑すぎてもいけないし、あまりボタニカルな感じの緑というのもそそらない。と言っても昨今のチョコミントには緑に限らず色んな色があるようで、特にハーゲンダッツのチョコミントの白さと、明治 The チョコミントの青さには驚くばかりです。
だから何だって話ですが、web小説サイト 「カクヨム」 で読んでみた作品の感想シリーズ第何段目かです。
この記事は、個人の趣味嗜好に基いて書かれていますが、ネタバレはあまりありません。

あなたは月面に倒れている  作者: 倉田タカシ

月面で目を覚ました男が、何かと対話をし続ける短編。あるいは月面に倒れた男が、ひたすらに連想ゲームをする短編。

ちょっと、いかんとも説明しがたいのでこの作品の中で私が一番に気に入った箇所を引用します。

「地球をおとずれた宇宙人の使節に、政府の担当者はキリンを見せました。

 宇宙人はいたく感じ入り、『これは牛にそっくりですね』と感想をのべます。担当者はおどろいて、いいえ、牛とキリンはとてもかけ離れた動物です、と答えてしまいます。
 (中略)
ところで、あなたはウツボカズラによく似ていますね」

個人的には、ランキングで見かけた瞬間に倉田タカシ来たこれで勝つるカクヨム始まったな、という心持ちになりまして、読む前から★で称えまくりたくなる衝動を感じざるを得ませんでした。しかし、読んでみたら案外 (悪い意味で) 普通の小説かも知れないと一息ついて、心を落ち着けてからまずはともあれ読みました。読み終わってみれば実に (良い意味で) 普通の倉田タカシ先生でした。

この作者がどういう人かといいますと、少なくとも私が知っている範囲では、やたらに面白くて突き抜けたナンセンス詩の名手であり、完全にかっ飛んでいるのに奇妙なリアリティを感じさせるSF小説を書く人であり、誰も行った事がなくまた今後一切誰かが行く事もないような場所に関する空想旅行記を酉島伝法、高山羽根子と一緒に書いている人です。
漫画も描かれるようです。
凄く面白い人です。

蒼穹のアルトシエル  作者: 犬魔人

kakuyomu.jp

頭上を隔壁に覆われ、大気は淀み水が汚染された世界でどうにか暮らしていた少年が、違う階層から来たと言う少女と出会ってやがてまだ見ぬ青空を目指すようになるボーイ・ミーツ・ガール物。

かなり (色んな意味で) 勢いのある作品の感想が先に立ってしまいましたが、こちらはある意味普通に勢いのある作品です。
これはね、本当見事ですよね。
ボーイ・ミーツ・ガール物、あるいは異能力バトル物、はたまた冒険者ギルド物、未知の探索行物、ディストピア物、旅物……どのジャンルとして見てもそれなり以上の完成度。あらゆるところにフックがあって、誰もが思わず引っかかり、それらのフックたちが相互に作用しあってよりなんか面白い感じになっているという、隙のない超絶技巧作品です。

こんな言い方は何なんですが、普通に面白かったです。
おすすめレビューにあった 「古きよきライトノベル」 という表現がしっくり来ます。大体、想定年代は96~99年ごろです。