ロードラに見る、フレーバーテキストの楽しみ
こちら、ラスボスの一角を担うユニット、 「クトゥール」 さんとそのフレーバーテキストです。
(伝説の英雄たち -壱- で頑張ってみたら入手できちゃって嬉しい)
まあ、怖いぞヤバいぞ強いぞ、という何となく曰くありげな普通のフレーバーテキストですね。
で、こういうゲームの常としてユニットに色々合成してレベルを上げて進化だ! みたいな奴があります。
ご多分に漏れず、このクトゥールさんも進化します。
こちらが (事前に冷蔵庫で寝かせておいた) クトゥールさんの進化後の姿と、フレーバーテキストです。
(自力ではまだ進化させられていないもので……)
進化後のテキストからは、クトゥールさんについてもう少し詳しく知る事が出来ます。
そして、クトゥールさんがどんな事をしていたのかが少しだけ語られ始めます。
最初のテキストでは 「何かヤバくて強いぜ格好良いぜレアキャラなんだぜ」 という売り文句に始終していましたが、何となく物語の気配がしてきました。声を取り戻すために契約を……というとストレートに人魚姫を連想します。
そしてこちらが最終段階のクトゥールさんと、新たなフレーバーテキスト。見た目は僅差ですね。
ここへ来て突然、テキストの毛色がガラッと変わりました。
急に商品説明を丸っきり放棄して、お話100%への路線転換です。
え?何?月が二つあんの?窓辺?どこの?海姫が現れた?誰だ???ていうか喰うのか???
ん?海姫?さっき何か 「海竜王の姉」 とかいう文章があったような。あれ、でも海竜王のお姉さんはクトゥールさんと契約を結んで、クトゥールさんのボディになったのでは。
……という疑問は、他のユニットのテキストを読んでいくと解明されていくようです。
何これ面白い。
更に紐解かれるストーリー
「リヴァイア」 さんとそのフレーバーテキスト。ハイ。この人がクトゥールさんの話に出て来たあの人です。
「海姫」 さんです。
ちなみに、リヴァイアさんと共にクトゥール討伐の旅に出た三人もちゃんとユニットとして居るようです。
その人たちのテキストを読み解いて行くと、どんなメンバーでどんな旅をしていたか、途中どんな困難があったか、そして最後に悪食王クトゥールは討たれたのか、世界に平和は訪れたのか……そんな物語が浮かび上がって来ます。
途中で仲間が一人裏切ったりとかして割と破茶滅茶な事になりつつ辿り着いたラスボスが自分の姉の姿だった、そんな悲劇のヒロインがリヴァイアさんだという事が、いずれ判っていきます。
判って来たあたりでちょっと快感を感じましたよ。
なんか投げっぱなしのそれっぽいフレーバーテキスト、というだけじゃなくて、それぞれの話に登場する人物がちゃんと居るのかよ!
というのは、私にとってかなり大きな衝撃でした。
この、話を読むために、それを集めるためにユニットのレベル上げをやっちゃう感じは実にヤバいです。
ハマります。
思えば、Magic: The Gatheringなんかでは確かに、フレーバーテキストを集めて行くと戦争の歴史が浮かんで来たり、実はその戦争が兄弟喧嘩だったりなんていう話がありました。
細切れの物語を集めて、描かれていない行間を想像で補い、新たなカードが出て歴史の空白が埋まるたびに己の想像の正誤を試して一喜一憂するというのは、その昔、確かにカードゲームの楽しみの一つだったはずです。
いつからでしょう、カードゲームと名のつくものたちが、ただただ美辞麗句だけを並べた無意味なフレーバーテキストを乱発するようになったのは。本来、場面場面にすぎないカードたちに背景と歴史を与え、それが過去現在未来と続く時間の中の一コマである事を描く力を持った、フレーバーテキストという欄が怠慢に溺れてからどれだけの時が過ぎたでしょう。
ゲームが、プレイヤー=主人公という物語の作り方をやめ、レベル上げすら脱ぎすて始めているこのご時世、突き詰めた形としてのMOBA系ゲームが台頭する今、主人公不在のゲームの時代におけるストーリーテリングのスタイルがロードラで完成しようとしているのかも知れません。なんて大上段に振りかぶったまま本日の記事を終わります。