モカジャバをジャバジャバ

世間の出来事のうちのごく一部について、周回遅れで書くブログです。基本的にはゲームのブログではあります。

記事カテゴリから、ゲームタイトル毎の投稿を絞り込む事ができます。
基本的にはネタバレを気にしていませんので、その辺りが気になる方の閲覧はお勧めいたしかねます。
また、記事内にいい加減なCSSを使用する場合がございますので、パソコン以外からの閲覧もあまり得策とは思えません。

「カクヨム」で読んでみた。 (サイバーセキュリティ小説コンテスト)

ごく個人的な意見であることをご了承頂きたいのですが、私はカクヨムにおけるキャッチコピーというものをほとんど重視していません。
見るには見てはいるのですが、記憶に残っているのは”異修羅”と、”東京グレイハッカーズ”くらいのものです。
そして、キャッチコピーを見て「読もう!!!」と強く思った作品は、この作品だけです。

御託はいい、ご覧ください。

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東京グレイハッカーズ(下村智恵理) - カクヨム


強い。(確信)




東京グレイハッカーズ 作者: 下村智恵理

クール系美少女(?)が、同好会の男の子と一緒になって、怪しげなツールを駆使してクラスメイトのSNSを暴いていく話です。

と言うと、半分くらいは正解ですが、まだ不正確です。

クール系美少女が、父親からwelcome to undergroundされて、顔面偏差値に対して異様なこだわりをもつ同級生の男子(二人は同じ同好会に所属し、対象を徹底的にストーキングするドローンを作成した)と軽口で叩き合いながら、気に入らない奴とかのSNSの裏アカウントをほじくり返して遊ぶ話です。

と言うと、先ほどより多少正確な説明のような気もしますが、まだまだ足りません。
しかしうまく言うことができそうにないので、以下に私が滅茶苦茶好きな点を書き連ねたいと思います。

会話が超良い

主人公と、バディ役の会話が滅茶苦茶に良いんです。
確かな信頼感とほのかな油断、秘密を共有する者同士の連体感、明け透けな嫌悪感と、底の知れない甘言をハイスピードで投げ付け合い続けます。
その会話の中に、お互いの価値観の合うところと合わないところ、理解できるところとよく分からないところ、よく知っていたことと今まで知らなかったこと、好きなところと嫌いなところ、そう言ったものが次々に立ち現れては消えていき、二人の距離感を見事に形作っていて実にヤバイです。最高です。

話が超良い

ギャグ物、または一発ネタ物ではなく、探偵物です。
それも、学生が放課後の時間と限られた資金や移動能力、社会的権限を使ってちまちま、時には大胆に捜査を行うタイプの探偵物です。

作中では、WIREDというLINEとTwitterを足してちょっと機能を増やしたようなSNSが圧倒的なシェアを誇っています。
能力は高いが人間性に問題のある探偵役と、やはり能力は高いが人間性に問題のあるバディ役が、念入りに隠された火種を掘り起こして煙を立たせていく感じで事件に挑んで行きます。

キャラが超良い

登場人物が全て、とにかく魅力的です。
全員が全員、ガッチリキャラが立っていて、どいつもこいつも一癖あるような奴ばかりですが(だけど年頃の学生さんってそういうところもあるよね、みたいなリアリティもある)
特に、主人公の描写は最高です。
一見すると、向かうところ敵なしのスーパーJKに見えるのですが、彼女がSNSや事件を通じて様々な人と関わることにより、その歪さや強さ、弱さが徐々に見えてきて、いつの間にか話の冒頭で抱いたイメージとはだいぶ違う、生々しいJKの姿が想像できるようになる感じが本当に好きです。



さて、この作品が応募されたコンテストの主題であるところのサイバーセキュリティ的な話についてもさらに色々書けると思うのですが、とりあえず「好き!!!」な気持ちを書き散らしたら満足したので本日はこの辺で。

書籍で読みたいです。