モカジャバをジャバジャバ

世間の出来事のうちのごく一部について、周回遅れで書くブログです。基本的にはゲームのブログではあります。

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基本的にはネタバレを気にしていませんので、その辺りが気になる方の閲覧はお勧めいたしかねます。
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「カクヨム」で読んでみた。 SF短編-2選

GWも残すところあと1日。
根っからのインドア派としては最後の一滴まで遊び尽くすより、1分1秒でものんびり過ごしたいものです。

とはいえ今から大作に手を着けると疲れてしまったり、通常進行への帰還に支障を来したりしますので、こういう時はいい感じの短編をだらだら読みながらアイスを食べたりコーヒーを飲んだりするのが、贅沢な休日の過ごし方ってもんじゃないでしょうか。

それはさておき、カクヨム感想がシリーズ化してきました。
本日は、SF短篇集の面白かったやつを2作。
カクヨムが加点方式なのに倣って、面白かったやつだけに言及します。面白くないやつを回想する気分ではありませんね。

The video game with no name 作者:赤野工作

今から100年後の「レトロゲーム」レビューサイト、という体のSF短篇集。
2016年現在から見てこれからの未来 (ややこしい) に起こりうるであろう、ARやAI関連技術の発展を、各時代の技術を全力で無駄遣いする攻め気味のゲームタイトルという視点から描き出す (ややこしい) 作品です。

ジャンル上は「SF」に登録されている作品だが、内容はいわゆる話題性狙いのエッセイ・ノンフィクション系だろう……と、思って読み始めたら、100%架空のゲームを架空の未来からレビューする、れっきとしたSF作品でした。

今後そんなキチガイ染みたゲームが出てくるなんて現実にはありえない、と思いつつ現状を省みると常々キチガイ染みており、あながちないとも言い切れない。
そんな、見ていたつもりが見られている事にふと気が付くような、絶妙のリアリティ。

ソシャゲ、シーマン、Tennis for Twoなど、「ゲーム」の歴史を縦横無尽に扱っているので単純に勉強になる側面もありつつ、コンピューター史に馴染みがない人にはどこからどこまでがフィクションなのか分からなくなるかも知れません。
そんな感じで、リアルとの境界を自然に乗り越えてくるような、あるいはリアルとの延長線上にうまく位置度っているような、見事なフィクションが堪能できる良作です。

コンピューター史、ひいてはコンピューターゲーム史に多少詳しいか、「ATARI」という言葉に聞き覚えがあるくらいの前提知識があるとより楽しめるかも知れません。

それは「ポン」から始まった-アーケードTVゲームの成り立ち

それは「ポン」から始まった-アーケードTVゲームの成り立ち

本作は、ファミ通に、1話1ページくらいで掲載されていそうなんですよね。 (2XXX年のゲームキッズを思い出しながら)
未完なので、しばらくは思い出した時に眺めてニヤニヤしたい。

偏執狂の猿にタイプライターを無限に打鍵させたとき、猿のテキストが偶発的にレイ・ブラッドベリを凌駕する確率に関する実験報告  作者:D坂ノボル

何かこの作者の名前に見覚えがあるんですよ。
どこか商業誌で読みましたかねえ。

1話完結、幻想怪奇短篇集。

1950-1965 ヒッチコック劇場
1959-1964 トワイライト・ゾーン
1985-1987 世にも不思議なアメージング・ストーリー
1985-1992 ブラッドベリの怪奇の館
1990-1991 世にも奇妙な物語

2016- カクヨム版SF怪奇劇場←new!

タイプライターを打っていた猿が最後に登場してしたり顔で何かを言うような事はなく、ぽんぽんと奇妙な世界が現れては消えていく感じがたまりません。
時折、急にライトな感じになったりしつつも、基本的にはしっかりした文体で、過度に猟奇味を押し付けてくる事もなく、質のいい短篇集の体を保っていました。

中盤から突如テンポがあがる、パトレイバーの太田が装甲車に箱乗りになって大暴れするかのような『平和すぎて死ねる』と
車中だけで完結しながら広大な世界観の一端をたっぷり堪能できる『限界世界』が好きです。特に、”限界世界”は言うだけ言ってハイ終了、みたいな無常感が大変に好きです。

いつの間にか完結していましたが、思い出したように続きを増やして欲しい。

鏡のなかの鏡―迷宮 (岩波現代文庫)

鏡のなかの鏡―迷宮 (岩波現代文庫)

レイ・ブラッドベリ好きは勿論のこと、ミヒャエル・エンデ好きにもオススメしたい一作。
個人的に、ブラッドベリでは「塵よりよみがえり」と「火星年代記」が好きです。