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モカジャバをジャバジャバ

世間の出来事のうちのごく一部について、周回遅れで書くブログです。基本的にはゲームのブログではあります。

記事カテゴリから、ゲームタイトル毎の投稿を絞り込む事ができます。
基本的にはネタバレを気にしていませんので、その辺りが気になる方の閲覧はお勧めいたしかねます。
また、記事内にいい加減なCSSを使用する場合がございますので、パソコン以外からの閲覧もあまり得策とは思えません。

成田良悟×fateにエンタメへの執念を見た

3連休、普段できなかった色んな事を楽しむチャンスという訳で何故かラノベを読んでいました。もうちょっと何かやる事ある気がするんですが……はて……。
巷では随分前に話題になっていた 「Fate/strange Fake」 、随分楽しみました。

何と言うんですかね、過去のFateシリーズは勿論のこと、それに留まらずあらゆるtype-moon作品のネタを拾いながらも、type-moon作品のコアなファンしか分からない話でもなく、かつ自然にオリジナル展開を持ちだして盛り上げるというのが実に良くできています。
型月ファンへのサービスと、成田良悟が得意とする変態ばかり出てくる群像劇モノとしての面白さ、エンターテイメント小説としての面白さが絶妙なバランスかつ高いレベルで調和している作品で、読んでいて感心しきりでした。

感心したっていうかニヤニヤワクワクしまくりました。
正直に言って凄い面白かった。
ちょっと悔しいくらい面白かったです。

以下、細かい感想と控えめにネタバレ。

プロローグからして、女性の人形師がどうとか聞いたことのあるような話が盛り盛りなのですが、それはさておき。
1巻はまず、各陣営の紹介とサーヴァント召喚を繰り返していきます。
staynightは士郎君中心の物語でしたが
そうではなくアニメFate/Zeroの序盤と似た構成ですね。

一番手はアーチャー陣営。
最初から、あの御方の登場を匂わせまくる。もう煽る煽る。あの御方ですね?あの御方なんですよね?もうあの御方以外いませんよね?と、散々盛り上げてからの満を持しての英霊召喚。そしてあの御方の扱い方を (作者が) 非常によく心得て尽くした展開。
で、ここまでならただの旧作経験者に向けたファンサービスだったのですが、更にあの御方の本気モード・そしてデレ、と休む間もなく畳み掛ける。有無をいわさぬ圧倒的なパフォーマンス。テンション最高潮を三回くらい更新してから、やっと第一章が終了します。

続く二番手はバーサーカー陣営。
先の章で滅多矢鱈と興奮してしまったので、一息ついてページをめくるといきなり一行目、強烈な一文が飛び込んできます。

時計塔。


Fate/strange Fake 第一巻 P.61より

ここで時計塔ですか?という事はロード・エルメロイⅡ世ですよね?
一息つく?とんでもない。否応なしに再びテンション上がりまくり。
そして期待に違わず、間髪入れずロード・エルメロイⅡ世が登場し、懐かしき第四次聖杯戦争を振り返ったりしてくれて読者をニヤニヤさせてくれます。同時に、新キャラである彼の弟子が登場しますがコイツが実に成田良悟作品っぽい良いキャラ。ロードに負けじと速攻でキャラを立て、ロードの話から師弟二人の話へと物語が移行していきます。
最後は弟子に話の主軸を譲り、バトンを受けた弟子がしっかりオチをつけて、第二章終了。

三番目はアサシン陣営。
Fateのアサシンクラスといえばハサン。
怪しげな沼地に建つゴシック風の洋館で厳かに呼び出されたのは、黒いフードを纏ったしかし仮面を着けないサーヴァント。ハサン……っぽいけど何かおかしいな……?という所から、一気に、怒涛の成田良悟オリジナル設定が動き出します。最初から最後まで油断を許さないトリッキーなネタ満載で、これまで以上に不穏な予感を漂わせる第三章が終了。

その後、四番目のキャスター陣営ではシーンが都市部の高層ビル、オフィス風のフロアにうつります。一転してアーバンな雰囲気に、しかしそこで執り行われるのはやはり、いかがわしい魔術の儀式、そしてより一層入り組む、狂気じみた信念に取り憑かれた人の妄念。
もうそれ反則なんじゃない?レベルの第五章。ライダー陣営の物語を経て、第六章。もはや感覚が麻痺してきたせいでストレートに見える変化球、ランサー召喚で長く熱かったプロローグが終了、物語は再び第一章と繋がり激しく動き始めます。


細部ではどんどん変化球を出しながら、全体の構成では緻密にバランスを取り、全体として徹底したエンターテイメントが織り上げられていくさまには作者の執念めいたものを感じるほどです。

この、第一章でまずファンサービスに徹してから、第二章で師弟関係を使ってファンサービス・新キャラネタを半々で出し、第三章では元ネタを独自の味付けで魔改造し、第四章・第五章で完全独自展開、第六章でなんかスタンダードっぽいけど細部を見るとかなり違和感のある、しかし……みたいなところで話は第一章に戻る。という構成。見事というほか無いでしょう。
まるでシナリオのお手本のようでありながら、枠組みの中では成田良悟ワールドが存分に暴れまわりつつも原作へのリスペクトは最大限。考えうる限り最も万全で隙のない二次創作ではないでしょうか。

型月ファンも、ライトノベル好きも、文章構成とかに小うるさい層もきっと大満足。私個人的には実にたまらん。

私自身、Fateシリーズや型月作品の熱心なファンという訳ではありません。
なので細かいネタについては拾いきれない部分が多いのですが、それを差し引いても全然楽しめました。とはいえあくまでFateシリーズの外伝なので、最低でもFate/staynightのアニメとFate/Zeroくらいは前提として観るなり読むなりしておくべきかとは思います。
逆に言うと、その二作に触れた事がある人であれば、大半がFate/strange Fakeを読んでニヤニヤするか膝を叩いて大笑いできるはずです。

ちなみにfate/Zeroは、アニメがなかなかよくできているので 「虚淵玄の文章が大好きなんだ!」 という人以外はアニメで十二分かと思いますし、虚淵玄の文章が大好きな人はそもそも言われるまでもなくもう原作を読んでいることでしょうが。

Fate/Zero(1) 第四次聖杯戦争秘話 (星海社文庫)

Fate/Zero(1) 第四次聖杯戦争秘話 (星海社文庫)

ここまで徹底的に面白い話、しかし元ネタはtype-moon、というのを見せられてしまうと、逆にひとつ不安になります。かねてより思ってはいたのですが 「実は成田良悟はネタ切れなんじゃないか」 という懸念がより現実味のあるモノとして感じられ、なんだか心寂しくもなります。