モカジャバをジャバジャバ

世間の出来事のうちのごく一部について、周回遅れで書くブログです。基本的にはゲームのブログではあります。

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有頂天家族ってもっと評価されてもいいんじゃないの? 今ならまだ間に合う。

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あの四畳半神話大系森見登美彦の作品を再びアニメ化!
そんな噂を耳にしたので、四畳半での怠惰で無益な様子を非常に楽しんだ私はまたあの独特な語りを堪能できるのか、今度は一体どのような邪悪と日本海溝に落ちていくのだ、責任者はどこだ、などとすっかり浮かれ上がって公式サイトを見たところ、どうやら観るものの心を無闇に温めてやろうとするものであろうことが見て取れたのでなんだかすっかり意気消沈し、放映が始まる前だというのに既に観ることをやめてしまったのだった。今になって思えば我ながらなんたる早計。なんと安易な情熱であろうか。

みたいな、くどくどとした愉快な語りは綺麗に整理されていました。ですが、言葉遣いは確かに森見登美彦先生らしいままでした。
四畳半神話大系では、まるで小説を読み上げ続けるかのような不思議な脚本が非常に魅力的でしたが、この有頂天家族では地の文を読み上げる必要がないよう、アニメーション映像の中にきちんと落としこんでいるように思います。

二週間後の日曜日に最終回を迎えるこのアニメが、正直すごく面白いです。
最終回に向けて、これまでのおさらいをしてしまったくらいに面白いです。
おさらいを済ませた勢いで、 「今からでも観る人が増えればいいのに!」 と、今更ながらの有頂天家族紹介をやってみる事にしたのです。
画像は公式PVより。

10分くらいでわかる アニメ 「有頂天家族」

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有頂天家族は、京都の美しい情景とともに、愉快な一家の愉快な日常を描くアニメです。
この ”愉快な一家” は実は、タヌキです。
このタヌキたちは女子高生というものの素晴らしさを理解するばかりでなく、京都のあちこちで信楽焼やコンビニの非常梯子などさまざまなものに化けて暮らしており、またタヌキたちは時には人間に化けてバーに現れる、というかむしろバーの店主がタヌキである

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洛中をタヌキが闊歩しているかと思えば、空には天狗が居る。
天狗は空を飛び、人々を高みから見下ろしては鼻高々、時々天狗風を吹かせてみたりしながらタヌキと睨み合っている。そんな人ならざるものたちよりもまるで妖怪らしい人間たちが、街では夜ごと宴会を繰り広げている。
そんな世界観のアニメです。

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そんな摩訶不思議京都にてタヌキ一家、四兄弟の三男 「矢三郎」 がこのお話の主人公です。この矢三郎を筆頭に、キャラクターは皆どこか間抜けで、隙あらば視聴者から笑いを取ろうとしてきます
公式PVからして 「阿呆の血を継ぐ」 とか書かれちゃってますし。

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原作が人気小説というだけあって、話に適当なところはなく、ただの日常アニメに甘んじて視聴者を退屈させることはありませんし、登場するキャラクターも全員が特徴的かつ魅力的です。
悪い奴もいい奴もいて、時々はぶつかりあう事なんかもあるけど、ずっと安心して見ていられる。

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そして基本的にはもう映像が素晴らしい。
怒った時には怒った動きを、困った時には困った動きを、キャラクターの機微を、手抜きのない演技でしっかりと見せてくれます。背景となる京都の町並みは美しいだけでなくて魅力的。ひたすらキャラのアップとバストアップに口パクだけで話が進んじゃったりすることは一度としてありませんでした。
正直、ショタという新たな領域に目覚めそうになりました。矢四郎可愛い。

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嘘です。


いえ、ここまで書いた事がまるっきり嘘という訳ではありませんが。

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ただ、次兄はコレです。
一見すると日常アニメのようですが、その日常はまるで魔境のような京都で繰り広げられ、天狗は四畳半で酒浸り生活のうえかつて出ていってしまった弟子 (美女) に未練たらたらだし、タヌキはタヌキなのに 「なにせ俺はカエルだからなぁ」 などと訳のわからない事を言うし、人間は高級料亭で鍋を囲んでいるかと思えばその鍋の中身はなんと四兄弟の父である みたいな感じです。

四畳半神話大系であれだけの爛れ腐ったクソ大学生を見事に描ききってくれた森見先生が、まっとうで退屈なだけのハートフル家族ストーリーなぞ書こうはずがなかった。当然のことでした。
そして、これだけの要素を突っ込んだうえに更に登場人物のほぼ全員がこれと同等のおかしさ、となればこれはもう面白くて仕方ないわけです。当然のことです。

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まずこの作品は、アニメの四畳半神話大系森見登美彦を知り、ついつい原作を読んでしまい、読んだ挙句に 「この作者の本は確かに面白いが面白さの大半は言い回しにあって、それもなんだかずっと読んでいると疲れてくるし、話の筋はよく言えば文学的、悪く言えば物珍しさはあるけど構成力の面での魅力みたいなものに欠けているところがあって、そんなに沢山読みたいタイプの本じゃないなあ」 みたいな評価をつけてそれっきり、森見登美彦の他の本を読んで来なかったような愚昧なやからが性根を入れ替えて謝罪しまくるためにあるんだと思います。
つまり私だ

森見登美彦先生、ファンの皆様がた、今まで舐めたことを言っていて本当に申し訳ございませんでした。

この有頂天家族という作品、非常に話がしっかりしていました。
よく出来たストーリーと魅力的なキャラクター、非常に完成度の高い映像。
もっと、評価されてもいいアニメなのではないでしょうか。

あまり書くと、アニメというよりも小説と森見先生を褒めちぎる事になってしまいそうなのですが、このストーリーがとてもよく出来ているんです。よく出来ているのですが、それはまた後日書こうと思います。

しかし考えてみれば当たり前なんですよね。
構成力なんて、人気作家さんが当たり前に持っている力のはずなんです。
でなければ、作家デビューしてから次々と作品を発表するなんて事はできないんですから。当たり前なのに、湯浅政明監督の手腕に騙されてその当たり前をすっかり忘れて馬鹿なことを考えていたものです。恥ずかしい限りです。

ちなみに小説はまだ読んでいません。
最終回が過ぎたら読みます。

酔っ払った矢二郎も可愛い。